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Radioheadがわたしの人生を大きく変えた

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十二月だというのに、日中は暖かく、とても過ごしやすい。

 

わたしの住んでいるところは、奈良県の中でも比較的標高の高いエリアなので、冬は長野県ばりの寒さだ。毎年のことなのに、寒さだけは一向に慣れる気配がない。

 

だからこそ、今年の暖かさには、嬉しさというよりも、受けるべき罰を受けずに済んでいるような、そんな奇妙な感覚を覚えている。

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Radioheadのフロントマン、Thom Yorkeの奥さんが癌で亡くなったというニュースが入ってきた。オックスフォード大学の教員で、イタリア文学のプロフェッショナルだったそうだ。

 

心よりご冥福をお祈りします。

 

Thom Yorkeのツイッターには、現時点でこのことについて何も触れられていないし、ドナルド・トランプを皮肉った記事のシェアを最後に更新が止まっている。

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Radiohead。わたしは、世界の捉えかたがまるっきり失われてしまうほど、このバンドの音楽から影響を受けた。

 

最初に聴いたのは"The Bends"で、中学か高校の頃だった。"just"という曲の雰囲気が気に入ったものの、取り立てて聴き続けていたわけではなかった。

 

それから大学に入って、一緒にバンドをやっていたコージとわたしは、グランジやブルースに傾倒した。そしてハウスやエレクトロなどの電子音楽をピコピコ系などと揶揄し、気に入らなかった音楽を徹底的に叩くことが青春時代の日課になった。 

 

だからこそ、酩酊しながら偶然に耳に入ってきた"Kid A"は、それからの音楽性も世界観も、何もかも変えてしまうほどのパワーを持っていた。厳密に言うと、アルバム"Kid A"の1曲目、"Everything in its right place"がそうだった。

 

Everythin in its right place

10拍のリズムやそのシンセサイザーの出す音色などの特徴的な部分はさておき、とりわけCMajorからC#M7への変遷に釘付けになった。

 

ちなみに、わたしはこの曲をもっと昔に知っていた。トム・クルーズ主演の"Vanilla Sky"の中だったかな。にも関わらず、その曲の危険な本質に全く気づいていなかった。

 

それからはとにかくRadioheadに傾倒したし、曲の研究をし続けた。卒論でもテーマに取り上げるほど、このバンドの楽曲に夢中になっていった。そうしているうちに、優れた音楽とは何なのか、ということが自分の中で腑に落ちるようになっていった。

 

それは、「和声」である。コード進行と言い換えてもいい。

 

Radioheadの音楽からは、稀に深淵に沈み込んでいくような感じを受けることがあった。自分なりにその発生条件を追求してみた結果、そこには必ず奇妙なコード進行があることがわかった。

 

わたしはそこまで理論に詳しいわけではないが、この条件で間違いなかった。アルバムごとに、この奇妙なコード進行が支配している楽曲を洗い出してみると、

 

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- Kid A -

Everything in its right place

Optimisic

 

- Amnesiac -

Pyramid Song

Like Spinnig Plates

 

- Hail to the Thief -

2+2=5

Scatterbrain

 

In Rainbows -

Faust Arp

Jigsaw Falling Into Place

 

- The King of Limbs -

Little By Little

 

- A Moon Shaped Pool -

Present Tense

 

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わたしは何も自分の好きな曲を羅列しているわけではない。

ここにリストアップしたものは、全て異常なコード進行が曲全体を支配している楽曲ばかりだ。人気のある曲はもっと他にもたくさんある。

 

"Everything in its right place"だが、これが発表されたのは2000年のことらしい。日本では何が売れていたっけ。

 

トムヨークのソロ作品では、この奇妙な和声というものがより色濃く体現されているが、youtubeのコメントを見ていると

 

"Thom yorke from 2022" トムヨークは2022年からきた(未来人だ)

 

なんていうのもあって、なるほどなぁ、などと納得してしまった。

 

www.youtube.com

 

 

そこからの人生は、どんどん下の方へ転がり続け、底の見えない深みに沈み込んでいく。

 

這い上がれないほど沈み込んだところで、いつもこの奇妙な音楽たちが、耳元でボソボソと囁いた。

 

『もっともっと下のほうだよ。』

 

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